ご挨拶

平成26年4月1日付けで、宮崎康二先生の後任として島根大学医学部産科婦人科学教室を担当させていただくことになりました京です。当教室は、島根医科大学として昭和52年に設置され、初代の北尾学教授のもとで産婦人科学教室としての基礎が築かれました。平成8年より宮崎康二教授が2代目として着任され、この度3代目として教室を率いるにあたり、私の思いを述べさせて頂きます。

出雲に赴任致しまして、周囲から地域医療への熱い期待を肌で感じております。大学の臨床教室の本分は医師派遣を通じて地域の医療を守ることであると心得ておりますが、地域医療とは単に地方でgeneral medicineを行うことではなく、高度な知識と技術を身につけた専門医こそが、その能力を大いに発揮するべき土俵であると考えます。

大学は、研修医を教育して高度の専門性を身につけた医師に育て上げる重要な使命を担っています。預かった原石を磨いて光り輝く宝石にしなければなりません。どのように磨き上げるかは教室の腕次第です。臨床の鍛錬は当然ですが、その上で明確な目的を持った研究を行うことで論理的な思考回路や洞察力が身につき、結果としてそれが臨床の幅を拡げることになります。臨床と研究は、突き詰めればその境界を引くことは困難であり、臨床を極めれば極めるほど研究による解決が必要となり、逆に研究を極めれば新たな診断や治療法として臨床に還元されます。つまり両者は本質的には同じものであります。このような考えの下、当教室では臨床と研究の垣根をなくし、「臨床はより研究的に、研究はより臨床的に」をモットーに若手医師を鍛え上げ、技術のみならず、論理的、合理的な考え方を身につけさせた上で、島根県の産婦人科医療に貢献させていただきたいと考えております。

一方で実地臨床面の充実はまったなしの要件です。一時期、地域におけるがん難民という言葉が取り上げられましたが、地域ゆえに高度先進医療が出来ないのは最も憂慮されるべき問題であり、ここにも本気で鋭く切り込んで行きたいと考えます。

縁あって出雲にまいりましたが、この出雲で教育、研究、診療に携われることを大変誇りに思います。どうぞ皆様の温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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