早産・切迫早産

早産とは

早産とは正期産(妊娠370日~妊娠416日まで)以前の出生をいいます。日本では妊娠220日~妊娠366日までの出産を早産と呼びます。妊娠22週未満の出産は流産といい、早産とは区別されます。国による医療技術の違いにより、妊娠24週以降や、妊娠28週以降に出産しなければ、早産として扱わない国も多くあります。妊娠22週で生まれた場合、早産となりますが赤ちゃんの体重は500g前後で長期間の新生児医療(新生児集中治療室での治療)が必要となり、また、小さく生まれた赤ちゃんほど、後で重篤な障害が出現する可能性が高くなります。最近では、妊娠34週以降の、正常の分娩時期に近い早産であっても、呼吸障害など長期に障害を残すことが報告されています。ですから、早産にならないように妊娠中は定期的な健診を受けていただき、早産になりやすい状況の早期診断と予防が必要になります。ちなみに早産は全妊娠の5%に発生し、その原因は感染や体質によることが多いといわれています。また、妊娠高血圧症候群、前置胎盤(胎盤が子宮口をふさいでいる状態)、常位胎盤早期剥離(分娩前に胎盤が子宮の壁からはがれてしまうこと)、胎児機能不全(胎児の元気がなくなってくる状態)などでは子宮内では赤ちゃんが生きられない状態になり、人工的に早産とせざるを得ない場合もあります。

切迫早産とは

早産になりかかっている状態、つまり早産の一歩手前の状態を切迫早産といいます。子宮収縮が頻回におこり、子宮の出口(子宮口)が開き、赤ちゃんが出てきそうな状態や破水(子宮内で赤ちゃんを包み、羊水が漏れないようにしている膜が破れて、羊水が流出している状態)をしてしまった状態のことです。
切迫早産の治療では、子宮口が開かないようにするために、子宮収縮を抑える目的で子宮収縮抑制剤を使用します。また、切迫早産の原因である細菌による腟内感染を除去するために抗生剤を使用することもあります。子宮収縮の程度が軽く、子宮口があまり開いていない場合は外来通院による治療でもいいのですが、子宮収縮が強く認められ、子宮口の開大が進んでいる状態では、入院して子宮収縮抑制剤の点滴治療が必要です。
妊娠32週より前に破水した場合は、赤ちゃんが自分で呼吸できる状態になるまで抗菌剤を投与し感染を抑えることが一般的です。しかし、赤ちゃんに細菌感染が起こっている可能性が高い場合には分娩となることもあります。妊娠34週以降であれば、赤ちゃんは自分で呼吸できる可能性が高いので、赤ちゃんに細菌が感染する前に出産し、生まれた後に治療室での治療を行います。
また、子宮口が開きやすい体質を子宮頸管無力症といい、どんどん子宮口が開大し、流産や早産になるので状況により頸管(子宮の出口)をしばることがあります。これを子宮頸管縫縮術といいます。

ならないようにするにはどうしたらよいか?

切迫早産や早産の予防のためには、日頃から無理のない妊娠生活を心がけることが最も大切です。そして、かかりつけの先生の妊婦健診をきちんと受診し、その指導には必ず従うようにしましょう。

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