妊娠糖尿病

妊娠糖尿病は、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常で、妊娠前に診断された糖尿病や、妊娠中に診断された明らかな糖尿病は含めません。

妊娠糖尿病になると何がおこるのですか?

お母さんが高血糖であると、赤ちゃんも高血糖になり、いろんな障害が起こります。

お母さん:妊娠高血圧症候群、羊水量の異常、肩甲難産など
赤ちゃん:流産、奇形、巨大児、心臓の肥大、低血糖、多血症、電解質異常、黄疸、胎児死亡など

特に妊娠前から糖尿病のわかっている人は、妊娠糖尿病より重度の状態ですので、血糖を十分管理し計画妊娠することが、健康な赤ちゃんを産むために非常に大切です。

どうやって診断されるのですか?

妊娠の早い時期に随時血糖をはかり、これが高いときにはブドウ糖負荷試験をして診断します。妊娠初期に陰性であった人も、妊娠が進むにつれ血糖を下げるインスリンというホルモンが効きにくくなるため、妊娠中期(2428週)にもう一度スクリーニングをうける必要があります。
妊婦さんの79%は妊娠糖尿病と診断されるため、きちんと検査を受けましょう。特に肥満、糖尿病の家族歴のある人、高齢、巨大児出産既往のある人などはハイリスクですので必ず検査をうけてください。

妊娠中に注意することはありますか?

血糖の厳重な管理が最も大切で、食前100mg/dl未満、食後2時間120mg/dl未満になるように管理します。妊娠中は運動療法があまり出来ないため、まず食事療法を行います。食事療法では、お母さんと赤ちゃんがともに健全に妊娠を継続でき、食後の高血糖を起こさず、空腹時のケトン体産生を亢進させないよう配慮します。46分割食にしても血糖管理出来ない場合は、赤ちゃんに悪影響を与えないインスリン注射を用いて血糖管理を行います。妊娠が進むにつれ、インスリンの使用量が増えますが、産後には減量あるいは中止できるので心配しないようにしましょう。

お産の後に気をつけることはありますか?

産後6-12週間後に再びぶどう糖負荷試験をうけ、妊娠糖尿病が治っているかどうか評価してもらいます。また、治っていても妊娠糖尿病になった方は、妊娠糖尿病のなかった人に比べ、将来7.43倍の高頻度で糖尿病になるといわれていますので、その後も定期的な検診が必要です。
産後に母乳を与えると、お母さんも赤ちゃんも将来、糖尿病になる頻度が減ることが知られていますので、母乳栄養を心がけましょう。

妊娠糖尿病は、今回の妊娠中にいろんな合併症を起こすだけでなく、お母さんの将来の糖尿病、メタボリック症候群発症、さらには赤ちゃんの将来の糖尿病、メタボリック症候群発症にも関係するため、妊娠時に糖尿病に対する正しい知識をもち、ライフスタイルを変えることが大切です。

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