卵巣をつくる主な組織には、卵巣の表面をおおっている表層上皮、卵子のもととなる胚細胞、性ホルモンを産生する性索間質などがあります。これらのすべてから腫瘍が発生するため、卵巣は極めて多種類の腫瘍に分類されます。

このうちの悪性の腫瘍を卵巣がんと呼んでいます

どんな症状がありますか?

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卵巣腫瘍は特有の症状がないことが多く、他の病気の検査でお腹の超音波やCTをとった時に見つかる場合や、子宮がん検診で超音波検査を合わせて行った場合に偶然見つかることがほとんどです。

卵巣腫瘍が大きくなってくるとお腹の上から触れるようになります。

卵巣がんの場合、腹水がでてきてお腹が張ってくる、がんが広がって体がしんどくなってくるなどの症状がでることがあります。

卵巣がんの原因はなんですか?

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様々な遺伝子変異の積み重ねで発生するといわれていますが、いまだ不明な点も多いです。

当科では卵巣がんの発生に関する研究も行っています。

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どのように診断しますか?

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卵巣腫瘍が疑われる場合、良性、悪性、さらに境界悪性といって良性と悪性の中間の性格をもつものでの区別が重要になります。診断は、まず最初に内診、超音波で行います。その後、必要に応じてCT、MRIなどの画像検査や腫瘍マーカーの測定も行います。

これらの検査により良性、悪性の予測はつきますが、最終診断は手術により摘出した卵巣腫瘍を顕微鏡で詳しく検査することで確定します。

下記(右)のように、のう胞のなかに構造物を認めない場合は良性の可能性が高いとされています。下記(左)のように内部に構造物を認める場合、悪性腫瘍、いわゆるがんの可能性が高くなります。



(日本産科婦人科学会 研修ノート「卵巣腫瘍」より引用)

どのような治療がありますか?

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卵巣腫瘍のタイプや悪性度についてよく調べたうえで治療法が決定されます。

良性の卵巣腫瘍が疑われる場合

腫瘍のタイプ、大きさ、妊娠の希望の有無など、状況に応じて経過観察やホルモン療法、手術療法を行います。

妊娠を希望される方の手術療法では、正常な卵巣を温存して腫瘍部分のみを切り取る手術が可能です。お腹に小さい傷を開けて行う腹腔鏡手術も可能です。その場合開腹手術に比べて短期間の入院で、社会復帰も早期に可能です。手術で摘出した卵巣腫瘍は必ず病理検査をおこない良性であることを確認します。

悪性の卵巣腫瘍(卵巣がん)が疑われる場合

いずれの進行期でも、まず最初に手術をおこなってできるだけがんを取り除き、そののちに抗がん剤の治療をするのが基本になります。

初回の手術は両側の卵巣・卵管、子宮、大網(胃から垂れ下がりおなかの臓器をおおっている脂肪組織のこと)、リンパ節をとる手術が基本です。

卵巣がんは、元々の場所(卵巣)から、体全体の様々な場所に広がっている可能性があり、卵巣を手術で取り除くだけでは、体の中に小さいがんが残っていることがあります。そのため、がんが広がりやすい臓器(子宮、リンパ節、大網)も合わせて手術を行います。さらにそれ以外の場所に広がっているがん細胞に対して抗がん剤の治療を行うことで、体に残ったがんが再び大きくなる(再発)可能性を少なくすることができます。治療終了後も、定期的に外来を受診して再発していないかチェックをする必要があります。

卵巣がんの「進行期」とはなんですか?

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「進行期」はがんの広がりの程度を示します。

卵巣がんの進行期は、手術のあとにどの程度広がっていたのか判明した時点で決まります。