子宮体がん

子宮体がんとは、子宮体部にできるがんのことです。子宮体部とは子宮の奥側の部分を指します。

子宮体部の子宮内膜から発生するがんです。

どのような症状がありますか?

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子宮内膜とは、子宮の体部と呼ばれる子宮の奥の部分にあり、妊娠した場合、受精卵が着床する膜のことです。月経ごとに子宮内膜は妊娠の準備を行うため厚くなり、妊娠が起こらなければ月経となり、厚くなった部分が剥がれ落ちます。この部分にがんができた場合、月経以外の時期にも出血するなどの症状が出てくることがあります。

どのように診断しますか?

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検査は、子宮の中にブラシを挿入し細胞を一部こすり取ります。その細胞を検査することでがんの可能性があるかどうかを判断します。その他、超音波、CT、MRI検査を行います。

子宮体がんが疑われる場合、これらの検査結果をふまえて進行期を決定します。

子宮体がんの「進行期」とはなんですか?

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「進行期」はがんの広がりの程度を示します。

子宮体がんの進行期は、手術前に推定される「臨床進行期」と、手術のあとにどの程度広がっていたのか判明した時点で決まる「手術進行期」があります。


(患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドラインの解説[編集]日本婦人科腫瘍学会より引用)

どのような治療がありますか?

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手術療法が基本になりますが、進行期や再発リスクの評価に応じて、抗がん剤による治療(化学療法)や放射線治療を組み合わせて治療を行います。

手術療法は、子宮全体を摘出する単純子宮全摘術と両方の卵管・卵巣を摘出する両側付属器切除術が基本の術式となります。

がんのタイプや広がりによって子宮を支える靭帯や膣も含めて切除する準広汎子宮全摘術、さらに広く靭帯や膣も含めて切除する広汎子宮全摘術や骨盤リンパ節に転移している可能性を考慮し骨盤リンパ節郭清(取り除く)を行う場合もあります。

さらにそれ以外の場所に広がっているがん細胞に対して抗がん剤の治療を行うことで、体に残ったがんが再び大きくなる(再発)可能性を少なくすることができます。

子宮体がんの初期で、悪性度の低いタイプのがんであれば、当院では腹腔鏡による治療も行っております。この手術はこれまで先進治療で保険が使えませんでしたが、2014年4月1日より保険適応となり、当科も施設認定を受けましたので、2014年12月より保険による腹腔鏡下子宮体癌根治手術を行っております。従来の開腹手術に比べ手術切開創は格段に小さくなり、下腹部に1~1.5センチ程度の小さな傷口が4-5箇所のみで手術を完遂できます。術後の傷みも少なく、早期退院(術後3-5日)が可能になりました。適応は手術進行期1期と予想される子宮体がんです。この手術を希望される方はこちらをご覧下さい。



腹腔鏡下子宮体癌根治術を行った患者様の術後1月の時点でのお腹の傷です。
これだけの傷で子宮摘出から骨盤内リンパ節の摘出まで全てを行いますので、患者様の入院期間は3−5日に短縮できるのです。



また、妊娠希望のある場合の治療は、子宮体がんの前がん状態(子宮内膜増殖症といいます)、もしくは子宮体がんでも早期で転移が少ないタイプのがんであればホルモン剤の錠剤を内服することで子宮を手術せずに治療を行うことも可能です。しかし、治療が効かない可能性が手術に比べて高いこと、この治療で一度よくなっても再発する可能性が高いことから、患者さんや家族と十分に話しあって治療を決めていく必要があります。
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