子宮筋腫

子宮筋腫は平滑筋細胞の良性腫瘍で、約80%の女性に発症するとされています。

子宮筋腫の多くは特に症状がありませんが、過多月経、月経困難症、不妊症、腰痛などの原因となることがあります。

どのような病気ですか?

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子宮筋腫は子宮筋層を構成する平滑筋に発生する良性の腫瘍で、婦人科腫瘍性疾患の中で最も頻度の多い病気です。子宮筋腫を構成する平滑筋細胞は、エストロゲン、プロゲステロンといった卵巣から放出されるホルモンが関与しており、閉経後は一般的に縮小すると言われています。発生する部位によって以下の3つに分類されます。

  1. 粘膜下筋腫:子宮内膜の直下に発生し、子宮腔内に向けて発育するもの
  2. 筋層内筋腫:子宮筋層内に発生し、発育するもの
  3. 漿膜下筋腫:子宮症膜直下に発生し、発育するもの

どのような症状がありますか?

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子宮筋腫の約半数は無症状で経過し、婦人科健診時に偶然見つかる場合もあります。代表的な症状としては、過多月経、月経困難症、下腹部腫瘤や圧迫症状、不妊などで、筋腫の存在する部位により症状の種類や頻度が変わります。

どのように診断しますか?

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超音波、MRI、子宮鏡検査などがあります。

どのような治療法がありますか?

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筋腫は良性の腫瘍であり、またその半数は無症状で経過することからすべての筋腫で治療を必要とするわけではありません。

治療を要する筋腫には、1症状のあるもの2妊娠希望のある方で、不妊症・不育症の原因と考えられるもの3妊娠に至った場合、妊娠中や分娩時にトラブルを引き起こす可能性が高いもの、4MRI所見で非典型的な所見を示し、子宮平滑筋肉腫やその他の悪性疾患の疑いがあるものなどがあります。

治療法には以下のようなものがあります。

1 , 対症療法

月経困難症や貧血などの症状があっても、筋腫そのものに治療は行わず、増血剤、止血剤、消炎鎮痛剤など症状緩和をはかる方法や、漢方薬やピル(経口避妊薬)を用いて月経量や月経痛の緩和を図る方法もあります。

2, GnRHアゴニスト療法

GnRHアゴニストは卵巣から放出されるホルモン(エストロゲン)の分泌を抑え、筋腫を小さくし、過多月経や月経困難症による症状を改善するために用いられる治療方法です。ただしエストロゲンを抑える作用があることから、長期に渡って治療を続けることは難しく、6か月程度(月に1回の注射を6回)にとどまります。治療を中止することによって筋腫は再び大きくなり、症状も再発する場合が多いです。このため、閉経近くの年齢の方、また筋腫が大きいため手術前に小さくする目的で行う場合もあります。

3, 子宮動脈塞栓術

4, 集簇超音波治療

5, 手術療法

妊娠希望がある場合、筋腫核出術(子宮から筋腫をくり抜く)を選択します。開腹で行う場合と腹腔鏡で行う場合、また経腟的に子宮鏡下に行う場合があります。子宮筋層深く筋腫を摘出した場合や、多数の筋腫を核出した後などは子宮破裂のリスクが高まるため帝王切開での分娩を選択することが多いです。

妊娠希望がない場合には、子宮全摘術あるいはマイクロ波子宮内膜焼灼術を選択します。

A, 子宮全摘術

腹式2腟式3腹腔鏡に分けられます。子宮をすべて摘出するため、過多月経や月経困難症も完全になくなり、筋腫の再発などの心配もなくなります。1の利点は大きな筋腫やお腹の中の癒着が強い場合にも対応できることなどです。2の利点は術後の痛みが少なく、入院期間も短くなります。しかし、大きな筋腫や癒着の有る場合は困難です。3は12の長所を合わせ持っています。手術時間が長くなるなどの欠点があります。

B, マイクロ波子宮内膜焼灼術 (Microwave endometrial ablation; MEA)

マイクロ波による過多月経の治療法をご覧ください。

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