当科では体にやさしい手術を常に心がけております。女性のお腹にメスを入れるのですから、傷口の大きさや見た目には非常に気を配っております。この点から内視鏡(腹腔鏡)手術に最も力を入れております。

 腹腔鏡(ふくくうきょう)手術では臍(へそ)と下腹部に1-2cmの切開を2-3箇所入れ、そこから内視鏡の鉗子(かんし)を挿入して手術を行います。この切開創は多くは時間とともに目立たなくなります。早期の社会復帰も可能です(入院期間は概ね3−5日)。当科では特に下記の腹腔鏡手術には力を入れ、安全、安心な低侵襲手術を実践しております。

ポート

1 良性の卵巣腫瘍

 当科では良性腫瘍(皮様嚢腫、チョコレート嚢胞、漿液性嚢胞、粘液性嚢胞など)の患者様はほぼ100%に腹腔鏡手術を行っております。しかしながら注意点もあります。良性腫瘍といっても悪性腫瘍との鑑別が容易でない場合もあります。術前の画像診断などの結果を踏まえ、カンファレンスで慎重に、かつ綿密に術式を検討することが重要なのです。良性腫瘍に対する腹腔鏡手術の入院日数は3-4日です。

2 子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症

 子宮筋腫や子宮腺筋症の大きなもの(赤ちゃんの頭程度のサイズ)でも当科独自の工夫により腹腔鏡手術(子宮全摘術または筋腫のこぶのみを摘出する子宮筋腫核出術)で摘出することが出来ます。子宮内膜症も腹腔鏡手術を標準とし、特に強度の癒着のある症例にも対応可能です。子宮内膜症は不妊症とも関連しており、当科では手術後に不妊(生殖内分泌)グループによるきめ細かいケアがなされますので、若年で将来お子さんが欲しい患者様も安心して手術を受けて頂けます。入院日数は4-5日です。

臍部に1カ所、脇腹に2カ所、下腹部に1カ所、各々5mm-1cm程度の傷がつくだけで手術を終えることが出来ます。(腹腔鏡下子宮全摘術後の術創部)

TLH創部

3 子宮脱、膀胱脱

 子宮脱、膀胱脱に対しては従来より腟からの手術で子宮を摘出し、さらに腟を縫い縮める腟壁縫縮術が行われていました。しかしこの手術は術後に腟の壁が垂れ下がってくる後遺症(腟脱、小腸脱)が起こりやすく、難点となっておりました。

 これに対し最近では、腹腔鏡でお腹の中から腟をメッシュという人工素材を網状に縫い込んだもので引っ張り上げ落ちてこないように仙骨という骨の靱帯に固定する手術(腹腔鏡下仙骨腟断端固定術)が開発され、一部の施設で行われるようになってきました。

 当科もH27年からいち早く腹腔鏡下仙骨腟断端固定術を導入し、すでに多くの患者様に行って非常に良好な成績を得ております。本手術は保険適応となっておりますので、安心して手術を受けて頂くことが出来ます。腟脱、小腸脱などの後遺症もほとんどありません。入院期間は3-4日です。

4 子宮体癌

 子宮体癌は腹腔鏡で手術できる時代となりました。と言いますのは、腹腔鏡下子宮体癌根治術がH26年より保険適応となったからで、患者様は一定の条件を満たせば開腹術の他に、腹腔鏡で手術を受ける選択肢を得たわけです。当科は本手術の保険認定施設となっておりますので、安心して保険適応の腹腔鏡手術を受けて頂けます。入院日数は5−7日です。腹腔鏡手術を受けるためにはいくつかの条件がありますので(詳しくはこちらをご覧下さい)。

5 子宮頸癌

 (1)子宮頚癌に対する腹腔鏡手術(腹腔鏡下広汎子宮全摘術)はまだ保険適応となっておりませんが、厚労省の定める先進医療となっており、認定を受けた施設でのみ実施可能です。当科はH27年より本手術の認定施設となっており、すでに多くの患者様に本手術を受けて頂いております。入院日数は7-10日です。本手術に関して詳しくはこちらをご覧下さい。

 (2)子宮頸癌に対するロボット支援手術(ロボット支援広汎子宮全摘術)も厚労省の定める先進医療となっており、当科もH28年から認定施設となり本手術を開始しました。入院日数は7-10日です。本手術は、現代の技術の粋を極めた究極のハイテクノロジー手術です。詳しくはこちらをご覧下さい。

子宮頚癌のロボット手術が先進医療に認定されました