当科は最先端の医療技術を患者様に提供すべく、常に新たな技術の習得と研鑽に励んでおります。現在特に力を入れて取り組んでおります下記の6つの先端医療をご紹介致します。

腹腔鏡下子宮体癌根治術

  • これまで先進医療としてごく一部の施設でのみ行われていた腹腔鏡下の子宮体癌根治手術が2014年4月1日より保険適応となり、一定の症例数や経験を有する施設が認定される施設認定を当科も受けましたので、2014年12月より健康保険による腹腔鏡下子宮体癌根治手術を開始します。
  • 従来の開腹手術に比べ手術切開創は格段に小さくなり、下腹部に1~1.5センチ程度の小さな傷口が4箇所のみで手術を完遂できます。術後の傷みも少なく、早期退院(術後3-5日)が可能になりました。ちなみに開腹術では術後約2週間の入院が必要です。本手術が適応されるのは手術進行期1A期(癌の子宮の筋肉への浸潤が浅い)と予想される子宮体がんです。
  • 手術進行期1A期の範囲内に入ると推定される患者様は開腹術以外の選択肢として腹腔鏡下手術を保険の範囲内で安心して受けて頂くことが出来ます。詳細は遠慮なくお問い合わせください。

この手術を受けられた患者様の術後1月目のお腹の様子です。

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腹腔鏡下広汎子宮子宮全摘術(先進医療A)

  • この手術は厚生労働省が定める先進医療となっております。
    先進医療とは厚生労働省が定める高度な医療技術を用いた治療のことで、近い将来健康保険の適用が検討されている技術のことをいいます。先進医療はどの医療機関でも受けられるわけではなく、厚生労働大臣から認定を受けた医療施設でのみ実施可能となります。当科も平成27年10月1日の時点で本手術認定施設となりました。
  • 先進医療の手術自体は自己負担となりますが、それ以外の診療にかかる費用(入院費や検査、投薬など)は健康保険の対象となる混合診療が適用されます。従来は全て自費診療で行われていたものですので、先進医療適応となることで自己負担が大幅に減り、患者さんには朗報です。生命保険の先進医療特約を契約されている患者様は手術費用が全額支給されます。
  • 対象は、早期子宮頸癌(IA2期、IB1期、IIA期)の患者様です。この進行期でなければ本先進医療は受けることが出来ません。(この進行期を逸脱しているケースは以下のロボットを用いた子宮頚癌手術をご覧下さい)。
  • 従来から行われている開腹による広汎子宮全摘術は恥骨上から臍上まで切開し、出血が多く、排尿障害やリンパ浮腫、膀胱、尿管損傷など合併症の多い手術でもありました。腹腔鏡下広汎子宮全摘術は、下腹部に1-2cmの孔を3−4箇所開けるだけで手術を完遂することが出来ます。さらに内視鏡を通した拡大視野による精密操作の結果、出血量の大幅な減少と、リンパ浮腫の軽減、入院日数の短縮が可能となりました。入院日数は約一週間で、出血量も少ない人では50-100ml程度に収まります。早期退院、術後の生活や仕事への早期復帰も可能な大変有り難い手術です。
  • この手術を希望される患者様は遠慮なく当科までお問い合わせ下さい。

 

マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)

お腹を切らない治療です。子宮腔内に器具を挿入してマイクロ波を照射することで子宮内膜の活動性を抑えます。MEAは子宮筋腫などの過多月経に対して非常に有効性が高く、手術に代わる低侵襲治療として注目と集めています。

 国内で既に20施設以上で行われ、良好な治療成績が報告されていますが、当科ではこの治療法を最も早くから取り入れ、我が国有数の症例数を経験しております。当院での治療時間の平均は37.4分、入院期間の平均日数は1.4日、出血量の平均は17.0 mlであります。過多月経による不安、不調を感じている方がいましたら、まずはご相談ください。

 

広汎子宮頚部摘出術(トラケレクトミー)

  • 近年、若年の子宮頸癌の発症が急増しています。これは性交渉の若年化によるヒトパピローマウイルス(HPV)の蔓延によるものです。妊娠可能な若年層の発症が増えていることで、妊娠が出来るように子宮を残す手術の必要性がより一層高まっております。
  • 子宮頸癌初期で、子宮温存希望のある患者様は、頸癌のある子宮頸部を含む組織を幅広く切除し、残った子宮体部と腟を繋ぐ子宮温存術式(広汎子宮頸部摘出術(トラケレクトミー))が選択できます(下図)。しかしながら頸部の切除範囲の決定や、子宮機能の温存のための重要血管の温存など、極めて高度な技術を要するため、現在でも一部の限られた施設でしか行われておりません。島根大学ではこの度、新教授が着任したことにより、この術式を行う体制を確立しました。妊娠中の手術も可能です。

    広汎子宮頚部摘出術(トラケレクトミー)
  • また通常の手術では切れてしまう自律神経(膀胱や子宮の機能を維持して調整する重要な神経)を可能な限り温存することで子宮機能が維持されるよう工夫された自律神経子宮枝温存術は、現在島根大学のみが施行可能な手術となっており、この手術は世界で初めて論文として公表されました。この手術を通じて、女性が子宮頸癌に罹患しても安心して子供を産めるようにしてゆきたいと考えておりますので、妊孕性温存の希望のある子宮頸癌初期の患者様は遠慮なく御相談下さい。

pdfファイル「子宮枝温存トラケレクトミー」(PDF:1.0MB)

 

手術支援ロボットを用いた子宮頚癌手術(先進医療B)

  • 当教室では平成27年6月より手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を用いた広汎子宮全摘術手術を開始しました。ダヴィンチによる子宮頚癌手術はH28年度より厚生労働省の認定する先進医療となり、当科も先進医療認定施設となりました。
  • ロボット支援手術は、今までの腹腔鏡下手術の利点をさらに向上させうる、次世代の医療革新の一端を担う分野です。特に骨盤の深い部分では視野や細かい操作性が腹腔鏡に比べて大幅に向上したダ・ヴィンチ支援下手術の優位性が発揮され、根治性や侵襲性に大いにメリットがあると考えます。当科では、このような利点のあるダ・ヴィンチ支援下手術を広く子宮癌の患者さまに提供していきたいと考えております。

ロボット支援手術の詳細

手術支援ロボット、ダヴィンチ(da Vinci)は、1990年代に米国で開発され、1999年よりIntuitive Surgical社から販売されています。お腹に開けた小さな創(1-2cm)から内視鏡カメラとロボットアームを挿入し、術者が3Dモニターを通して術野を見ながらマスターコントローラーと呼ばれる装置を手元で操作して、遠隔操作によりロボットアームの先についている鉗子(インストゥルメント)動かし手術を行います(遠隔操作といってもせいぜい数メートルです)。ダヴィンチには以下のような特徴があります。

(1)高解像度3D映像による術野

3D内視鏡カメラにより、術野を高解像度の3D映像として表示します。ズーム機能により患部を拡大視野でとらえます。

(2)超精密操作

ロボットアームの先のインストゥルメントは人間の腕、手首、指先のような役割を担っており、先端にさまざまな鉗子を装着して使用します。術者の動きに緊密に連動し、組織をつまむ・切る・縫合するなどの動作を極めて精密に行います。

(3)手ぶれ防止機能 

ダヴィンチには手ぶれを補正機能があり、鉗子やカメラを動かすコントローラに手先の震えが伝わらないような仕組みが施されています。したがって細い血管の縫合や神経の剥離などを正確に行うことができます。

(4)モーションスケール機能

モーションスケール機能は、医師が動かす手の幅を縮小してインストゥルメントに伝える仕組みです。 たとえば対比を5:1に設定すれば、手を5cm動かすと鉗子は1cm動きます。これにより不注意による誤動作をなくし、安定した操作が可能になります。

このようにダヴィンチは現代で考え得る最高のハイテクノロジーを満載したインテリジェンスな手術支援ロボットなのです。

より詳細な情報は 

をご覧ください。

  • 先進医療の手術自体は自己負担となりますが、それ以外の診療にかかる費用(入院費や検査、投薬など)は健康保険の対象となる混合診療が適用されます。従来は全て自費診療で行われていたものですので、先進医療適応となることで自己負担が大幅に減り、患者さんには朗報です。生命保険の先進医療特約を契約されている患者様は手術費用が全額支給されます。
  • ロボット支援手術は腹腔鏡下広汎子宮全摘術の対象となる早期子宮頸癌(IA2期、IB1期、IIA期)以外の患者様(IB2期、IIB期)にも適用されます。本手術についての詳細については当科まで遠慮なくお問い合わせください。

この手術を受けられた患者様の術後1月目のお腹の様子です。

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腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術(子宮体癌)(先進医療A)

  • 子宮体癌の手術は、腹腔鏡下子宮体癌根治術がすでに保険診療となっておりますが、後腹膜リンパ節の摘出は骨盤リンパ節だけに制限されています。しかし、子宮体癌の高リスク群(癌の浸潤が子宮の筋肉の深いところまで進んでいる場合など:進行期はIB期)ではより高い位置にある傍(ぼう)大動脈リンパ節への転移が想定されます。このリンパ節の摘出は保険診療上は開腹手術しか認められておりません。
  • 当科では傍大動脈リンパ節摘出までを含めた手技の全てを全て腹腔鏡で行う手術を臨床試験として平成29年2月より開始し、その実績を元に平成29年10月より先進医療認定施設となりました。これまでの執刀例では大幅な出血量の減少と術後回復期間の短縮を認めております。開腹による傍大動脈リンパ節摘出手術は下腹部から胸部の下までにおよぶ大きな傷跡を残し、術後の回復も婦人科の手術の中では最も時間を要します。これに対して腹腔鏡下手術では腹部に5-6カ所の1-2cm程度の傷が残るだけで手術を完遂でき、術後も1週間程度で退院可能です。開腹手術との比較で、腹腔鏡下手術の低侵襲性が最も顕著に発揮されるのが本手術であると言えます。
  • 先進医療の手術自体は自己負担となりますが、それ以外の診療にかかる費用(入院費や検査、投薬など)は健康保険の対象となる混合診療が適用されます。従来は全て自費診療で行われていたものですので、先進医療適応となることで自己負担が大幅に減り、患者さんには朗報です。生命保険の先進医療特約を契約されている患者様は手術費用が全額支給されます。
  • この手術を希望される患者様は遠慮なく当科までお問い合わせ下さい。