菅野晃輔先生の学位審査
2025年03月26日
2025年3月5日、菅野晃輔先生の学位公開審査会が開催されました。
子宮内膜症の治療薬としてプロゲスチン製剤が日常的に使用されていますが、プロゲスチン製剤を投与しても効果のない患者さんが存在します。菅野先生は、この治療抵抗性の原因として、子宮内膜症の細胞に一定の頻度で認められる癌遺伝子変異が関与している可能性があると考えました。そこで子宮内膜症のモデル細胞を作成した上で、この細胞に癌遺伝子変異を人為的に導入して、プロゲスチン製剤暴露の上で、細胞増殖や痛みに関連する因子の発現に与える影響を検討しました。その結果、KRAS遺伝子変異がある場合に、痛みに関与するプロスタグランディン関連因子の発現が、プロゲスチン製剤暴露にても抑制されず、抵抗性の原因となっている可能性が示唆されました。臨床的にもプロゲスチン製剤投与にても痛みに対する効果が認められない場合、KRAS遺伝子変異が関与していることが推定され、抵抗性予測因子となることも示唆されました。
堂々とした発表で、質疑応答にも的確に答え、審査会が終了、3月17日、医学博士号を取得されました。菅野先生、おめでとうございました。