内分泌研究室

研究の紹介(内分泌)

女性の月経周期は視床下部から分泌されるGnRHと、GnRHによる指令を受けて下垂体前葉から分泌されるゴナドトロピン(LH, FSH)により制御されています。ゴナドトロピンは卵巣に作用し、卵胞形成、女性ホルモン分泌や排卵及び黄体の維持に関与しています。

私達はこのような中枢性の性腺機能調節機構の詳細について研究を行っています。


1.LH及びFSHの特異的制御機構の解明

下垂体前葉ホルモンであるLH、FSHは視床下部からパルス状に分泌されるGnRHにより制御されていますが、GnRHが高頻度パルス状に分泌される場合はLHが優位に分泌され、低頻度パルス状の場合はFSHが優位に分泌されます。GnRHという一つのホルモンが、LH、FSHを特異的に制御する機構は分かっておりません。私達はメディウムを持続的に還流させ、下垂体細胞にGnRHパルス刺激を行う実験を行っています(図1)。GnRHパルス頻度の違いにより、細胞内で情報伝達の仕方が異なる事や、GnRH受容体やPACAP受容体の発現パターンが変化することなどを報告してきました。LH, FSHを個別に制御する事が可能になれば、効率的な排卵誘発法の開発につながると考えます。


図1 還流実験装置

 

2.PACAPによる生殖ホルモン制御機構について

PACAP (pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide)は1989年に日本人により分離同定されたペプチドですが、PACAPは視床下部及び下垂体前葉にもその発現が見られます。PACAPやその受容体あるPAC1受容体の欠損マウスでは繁殖能力が大幅に低下する事が知られています。PACAP及びPAC1受容体はゴナドトロピン産生細胞内も存在し、GnRH刺激でその発現が変動する事が分かりました。またPACAPの刺激でもゴナドトロピン発現が生じ、PACAPはGnRH受容体数も制御するなど、GnRHとPACAPは互いに協調してゴナドトロピン産生を促進していると考えます。興味深いことにFSHを特異的に増加させる低頻度GnRHパルス刺激ではPACAPとPAC1受容体の発現が低頻度GnRH刺激に比べて増加することが明らかとなり、PACAPとその受容体発現の変化はGnRHパルス頻度特異的LH, FSH発現調節機構と関連するのではないかと考えています(図2)。また私達はPACAPのGnRH産生ニューロンやプロラクチン産生細胞に対する働きについても注目しています。



図2 GnRHパルス頻度依存的LH, FSH発現機構

 

3.キスペプチンニューロンによるGnRHニューロンの制御機構に関する検討

これまで生殖機能を司る中枢性ホルモンの頂点にGnRHが存在すると考えられてきましたが、最近ではGnRHニューロンの上流にキスペプチンニューロンが存在し、GnRHのパルス状分泌やLHサージを支配していると考えられています。私達はキスペプチンによるGnRHニューロンへの直接作用について検討しています。これまでにキスペプチンはGnRHニューロンに作用し、細胞内の情報伝達を促進する事や、GnRHニューロンに存在するGnRH受容体の発現を増加させることを報告してきました。

 

4.プロラクチン産生メカニズムの解明

プロラクチンは生殖や、免疫機能維持などに必要なホルモンですが、生理的範囲を超えて上昇する高プロラクチン血症になると、無月経や乳汁漏出などの弊害が出てきます。プロラクチンは下垂体前葉のプロラクチン分泌細胞から合成分泌されますが、主としてドーパミンにより抑制的な制御を受けています。プロラクチン分泌促進因子としてTRHが知られていますが、プロラクチン合成・分泌へ至る詳細な機序を解明し、高プロラクチン血症の病態を明らかにしたいと考えています。

 
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